HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

r> g とブラックスワン

rの考え方にブラックスワンべき乗則的効果が入っているか疑問に想っていた。

 ピケティ氏は新たな論文で、第1次世界大戦前の極端で根強い貧富の格差を説明するのに自身の理論的枠組みを適用しただけで、過去100年については多くを語っていないと主張。「20世紀の所得と富の変遷を考える上で『r>g』(という不等式)が唯一のツールではなく、主要なツールでさえないと見ている」と述べた上で、「21世紀に起こる不平等の過程を予想するものでもない」と付け加えている。

 ピケティ氏はまた、政治的ショックや制度変更、経済発展などが過去の不平等の中で主要な役割を果たしており、将来も同じようになるだろうと主張している。

No.10892 【オピニオン】ピケティ氏が方向… - ■ 噴き上げ予兆 クラゲ(❛▽❛✿)市況TOB-BOT - 株式掲示板 - textream

やはり、単純な話しではないと。

例えばリーマンショックの時に資産1億ドルの投資家と、資産5万ドルの給与所得者のどちらが影響が大きかったか考えればわかる。資産が大きければ大きいほど、一般に社会的な変動を受けやすい。特に、金融工学とはひとつの投資案件の中で利子部分、元金返済部分、エクイティ(資本)部分などリスクに応じて分けることで投資を膨らませてきた。一般に、スライスと呼ばれる各部分でリスクが大きいほど利回りも大きくなる。で、投資家はリスクの大きい部分を取りがちだ。会社においても、社員の給与は労働債権として保護されているが、位があがればあがるほど賞与、年俸、経営責任とリスクと利回りが変化していく。

元の例に戻れば、実際に1億ドル持っていてもリーマンショックで全てを失った投資家は存在する。資産5万ドル、年収2万ドルの給与所得者は多少資産と所得を失ったかもしれないが、リーマンでも生活は続けられただろう。もちろん、そこには首になって転職するなどの苦労はあったかもしれない。もちろん、逆もありうる。ただ、それはブラックスワンの世界なのだ。

07年夏以降のヘッジファンドの混乱は不可解な部分がある。いくらレバレッジをかけていたとはいえ、存在したことのあるお金の投資であれば手じまいをして、あらたなファンドの組成などにより再出発する方法はあったのではないかと思える。クォンツ達はよく勉強していた。マンデルブロの警告も、クォンツ達の聖書といえる最初の論文集に掲載されていた。金融危機で数千億円を稼いだというタレブのヴァニラオプションの手口も熟知していた。それでも再生できなかったのは、ある意味驚きではある。

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経済学者にとってべき乗則を受け入れるということは、経済学やファイナンスの分野で確定的にものをいうことを不安にさせる。予測がなりたたない、準備してもそれをすべて押し流すブラックスワンが必ず表れるということなのだから。常に非常に大きなぶれや、リスクを受け入れることになる。

なぜ経済学者はべき乗則をこわがるのか? - HPO機密日誌