「近代の呪い」をようやく読了した。ばりばりの左翼だと自他ともに認めていたはずの渡辺京二さんがフランス革命を否定するくだりには、感動した。

- 作者: 渡辺京二
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2013/10/17
- メディア: 新書
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大佛次郎のフランス革命、第三共和制をめぐる作品からフランス革命とは革命のために人権だの、民衆の命などは犠牲にした恐怖政治であり、200万人もの犠牲者をだしたことなど、ここから近代民主主義国家が生まれたなどということはおこがましいほどであることが描かれている。
年代は違うことはよくわかっているのだが、大佛次郎が描き、渡辺京二さんが語るパリコンミューンのバリケードにミュージカルの「レ・ミゼラブル」のシーンを思い出してしまう。
ともあれ、近代から現代に至り国家間の競争の激しさにより逆に国民国家の呪縛が深化してしまうこと、国家が人工環境となり人間がスポイルされてしまうことの、ふたつの「近代の呪い」を骨格として、渡辺氏の深い洞察に触れるのは、よい読書体験であった。渡辺氏を見る目が変わった。