あまりに普遍的なので、地域性の豊かさとは対立する。地域性の高い日本では禁教になっていたのがわかる気がする。
まず、「大審問官」の問題提起。
「カラマーゾフ」の「大審問官」を読んだ。キリストとキリスト教、特にカソリックの対立を明快に描いている。ユークリッド幾何学のようにどこまでいっても善と悪とがまじわらないということが、宗教としてのキリスト教のベースになっている。
大審問官 - HPO:機密日誌
キリスト教は神への隷従こそが信仰であると。
例えば、「ザ・ウォーカー」という近未来を描いた映画の主人公の信仰はキリスト教的だ。すべてを奪われても、神の加護があればヒーローの活躍ができる。聖書自体がこの映画の大きな鍵になってもいる。
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私がこうであろうと想像するキリスト教の信仰とは聖書にある百人隊長のそれだ。
「わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また、部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」
神への隷従の信仰とは、民衆、社会の側から見ればカソリック教会への隷従そのものとしか見えない。
遠い遠い未来でも、このカソリックの問題は変わらない。
三位一体説って、ふつうに「父と子と精霊の御名において」というけど歴史的にはキリスト教がローマ帝国を手中に入れた記念みたいなものなんだ。
ユリアヌスの憂いと例のSF小説を想う。
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タイトルがギリシア語っぽいのも、伊達ではないということだろう。未来のカソリック教会も、古代のカソリック教会も帝国を「溶解」させるという意味ではやっていることはかわらないということか?
ちなみに、ここでユリアヌスとはローマ帝国で古代のギリシア・ローマの栄光を復活させようとし、キリスト教側からは「背教者」と呼ばれる皇帝だ。
宗教面では、キリスト教への優遇政策を廃止している。ユリアヌスは「異端」とされた者たちに恩赦を与え、キリスト教内部の対立を喚起した。彼は弾圧などの暴力的手段に訴えることなく、巧妙に宗教界の抗争を誘導した。異教祭儀の整備を進めたのも、ユダヤ教のエルサレム神殿の再建許可を出したのもそのためであった。これらの行動により、永くキリスト教徒からは「背教者 (Apostata)」の蔑称で呼ばれることになる。
フラウィウス・クラウディウス・ユリアヌス - Wikipedia
そもそも、キリスト教では神への信仰にすべてを身を任すために俗世での所有を抑制している。
無一物ということに惹かれはするものの俗世の仕事や家族を捨てるのは、古来らくだが針の穴をくぐるより難しいらしい。
なにかこの辺に糸口がありそげに想いながら、ここをまだ超えられない。
んー、なんかPCの前に坐っている時間がどんどん短くなってきている - HPO:機密日誌
自分が一番大切なものでもこだわらないということが信仰の入り口であることはおぼろげにわかる。しかし、距離を感じる。仏教の無一物と、キリスト教の金持ちの青年のたとえ話が意味するところはあまりに遠い。そして、カソリック教会の伽藍をみるにつけ、誠に誠に現世での財産を否定することは難しいと感じる。カソリック教会の存在自体が信仰の難しさを示している。
「裸のキリストに裸でしたがう」ことを求め、悔悛と「神の国」を説いた。
アッシジのフランチェスコ - Wikipedia
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キリスト教の無所有は、神という普遍的で人格を持つ存在への隷従を意味する。仏教の無所有は、「一隅を照らす」灯りになるという地域性、この目の前の人の役に立ちたいという菩提心があるように思う。
西田天香さんの「生活」の仕方に改めて感動した。
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「無一物中無尽蔵」をここまで実践するのかと驚嘆の想いで満たされた。
日本におけるキリスト教について一番迫ったものを感じたのは、遠藤周作の「沈黙」であったと告白しておく。
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