友人に「永遠に若く、元気でいられる技術が開発されたそうだから見に行こう」と誘われた。電車を乗り継ぎ、ある大学病院に案内された。迷路のような通路をぬけていくと、その研究所はあった。さすが旧帝国大学と思わせる、レンガ造りの古風な建物だった。周辺には、みな過剰に端正な顔つきの既に「処置」をされたとぼしき人々が歩いたり、話したりしていた。しかし、一様に表情がなかった。これはもしや、生きたまま「屍者」化されることにより「永遠に若く、元気」でいられるということなのかとようやく気づいた。「屍者化」してしまえば、年はとらないかもしれないが成長もない。老成もない。友人に丁寧に礼を言って、その場を離れようとするのだが、なにせ旧帝大の迷路のような建物なので、出るに出られない。このままでは強制的に「屍者化」されてしまう。冷や汗が出て来た。「屍者化」されたときに、自分の感情はどうなってしまうのか、身体の一部でも傷ついたら再生できないのではないかなどと、ぱにくりながら考えた。そこへ、先の友人が近づいて来た・・・・。

- 作者: 伊藤計劃,円城塔
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: 単行本
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・・・、というところで目が覚めた。怖かった。