ここのところ漫画の話しばかりで恥ずかしい限り。
- 作者: 山岸凉子
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2010/08/20
- メディア: コミック
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僕にとってはとても「女っぽい」と見えるこころの動きが各作品に描かれている。山岸凉子ならではか。やはり、なんとも言えない線の繊細さがある。
- 「鏡よ鏡・・・」 娘にまで自分の男を取られると危惧する嫉妬心
- 「顔の石」 死んでまでも、夫を縛り付けておきたい執着心。あるいは、まったく逆に前妻に対する嫉妬心であったかもしれない。もっと言えば、ほんとうに前妻を忘れ自分を愛しているか試した「支配する愛」だと読めないこともない。
- 「ブルー・ロージス」 男への愛のめざめ。女は愛に目覚めるまでは羞恥を見せるが、一線を越えると愛を男以上に求めるもの。愛着心か。
- 「常世長鳴鳥」 天の岩戸の伝説からタイトルは取られたのだろう。劣等コンプレックスとその裏返しの奇妙な優越感。
- 「キメィラ」 男と女の境。そして、そこにひそむ狂気といったらいいのだろうか。少々ことここにいたるモチベーションの描写にかける。
- 「瑠璃の爪」 親しいが故に起こる憎しみ。兄弟は難しい。
- 「学園のムフフ」 「キメィラ」に通じる、男と女の境の物語。
- 「水煙」 「日出処の天子」を思わせる歴史もの。女同士の愛憎を描いた作品集の最後に男同士の穏やかだか強靱な友情を描く佳品が置かれているのは救い。
もうひとつ共通するのはお着物の登場人物が多いことか。巻頭のカラー原画を含めて、ステキなお着物姿の女性がたくさん登場するのも楽しみ。