ここのところ、新しく始めた会社がごくうまくいっているという話しをよく聞く。
ま、ちょっとよくよく見てくと不安になる部分はあるはある。それにしても、これだけ経営ノウハウが公開されていて、かなりのスキルをもって人材が流動化しつつある現代では、雨後の筍のようにスタートアップ企業が育っているようだ。
企業は時期と方向性があると信じられないほど成長する。昨日の日本電産さんも、HDD用のモーターを手がけるようになってから急成長したそうだ。
リアルでお会いした某超成長スタートアップ企業に転職した方は、いままではエスタブリッシュメントになりつつある企業グループで育ち、パートナークラスの役職のキャリアを重ねていた。それぞれの企業で培った経営ノウハウとスキルを、ある急成長中スタートアップ企業でいかんなく発揮されている。すばらしいことだ。スタートアップとはいえ、いや、スタートアップだからこそ、企業の使命についても、シンプルではっきりしている。顧客の需要の風を受ける帆船にたとえれば、小回りのよさは、四本マストの帆船と、競技用の470クラスのヨットくらいの差がある。
「日本丸・海王丸」 (園長さんのガーデンライフ)
無料デジタルマガジン-GoodSailing-グッドセーリング、ヨット、ボート、クルーザー、マリン、アメリカズカップなど
(あ、もしかすると最近のスタートアップさんたちはセールボードだったり、モーターボートだったりに進化しているのか?)
一方、私のまわりの既存企業はがまんくらべをしていて、どこも低収益で悩み抜いている。古い企業の中には、実質債務超過に陥っている企業もお増えていると聞く。当然、こうしたスタートアップしたばかりでも、うまくいっている企業には負の遺産はないだろう。
私は組織内外のネットワーク、いわゆるソーシャルキャピタルが既存の企業の価値だとずっと思っていた。しかし、うまくいっているスタートアップ企業の姿を見ているとほんとうにそうだろうかと思えてくる。急速にソーシャルキャピタルを築く力をすでにもっているところもあるのではないだろうか?しっかりしたマーケティングというか、顧客要望を十分に満たす構造をもっているのは、成長していることから必須であろう。老舗の企業の価値ってなんなんだろうと自問せざるを得ない。
「繁栄」によれば、すでに米国では超大企業が力を失い、新興の中小企業が産業の主導権をにぎりつつあるという。経済学者によれば、人と企業の流動性が十分に高いことが、成長分野に適切な資源分配が行われる条件なのだそうだ。その意味では、ようやく日本でも、今後の成長するスタートアップ企業に希望を見いだせるかもしれない。
- 作者: マット・リドレー,Matt Ridley,柴田 裕之,大田 直子,鍛原 多惠子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/10/22
- メディア: 単行本
- 購入: 10人 クリック: 173回
- この商品を含むブログ (57件) を見る