今敏監督のPERFECT BLUEを見てしまった。改めてすごい人だったんだなと感じた。
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この作品のひとつのテーマは現実感の喪失だ。自分がいったい誰なのか?本物なのか、偽物なのか?いま生きている人生がリアルに感じられないのはなぜか?
いや、断言するには監督自身が制作過程について細かく語っているので、検証する必要がある。
本人の意思とは関係もなく、何者かによって作り上げられた“私”。自分が担い人前で披露してきた“私”が一人歩きを始め、更には自分よりも自分らしくなってしまった完璧な“私”。作られる舞台は電子のネットワークの中。あるいは主人公のインナースペース。主人公にとっては過去の自分、それが現在の自分と対立する……。
No.1
この「No.」で綴られた今監督の“私の戦記”によると、PERFECT BLUEは97年の夏公開された。97年って、ちょうど"serial experiments lain"が制作されていたころのはず。lainも「何者かによって作り上げられた“私”」の話であった。また、その舞台も「インナースペース」なのだか、サイバーなのか不分明だ。現実感とリアリティの境が描かれ、「主人公にとっては過去の自分、それが現在の自分と対立する」場面が多く描かれる。
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それと、現実感の喪失という意味では小説版しか読んでいないけど、「木島日記」もリアルの世界が死滅した世界なのか、リアルの世界なのかがわからなくなるような話だった。
- 作者: 大塚英志
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ちなみに、私自身も96年、97年くらいの記憶がない。仕事が忙しすぎて、テレビも、音楽も、人との交流も、このころの記憶がもうろうとしている感じだ。どうもそういう時代の空気だったのだろうか。