最初に倉橋由美子の「パルタイ」を読んだのは、私が大学生になったばかりのころ。「パルタイ」が発表されて25年が過ぎた頃。大学生時代ですら、はるか遠い時代のことだと読んだ。
私が大学生だった頃からまた、25年。倉橋由美子ももう亡くなった。だが、不思議と最初に読んだ時以上には、遠く感じない。
- 作者: 倉橋由美子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/02/01
- メディア: 文庫
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迷路の中を歩き回るような感覚だけが残っている。それでも、当時「リアル」であった小説を忘れ果てた今も、倉橋由美子の作品の印象だけは残っている。お能のようなものなのか、抽象化された本質だけがそこにあるのかもしれない。「パルタイ」とはロシア語で「パーティー」。政党の意味も、学生の集まりの意味も、倉橋由美子のことだから、多様な意味をこの作品の名前に付けたのだろう。
『パルタイ』は、倉橋由美子の短編小説。
パルタイ - Wikipedia
1960年、明治大学学長賞に応募し、入選。平野謙がこれを評価し、『文學界』に転載された。この作品は芥川賞候補になり女流文学賞を受賞、作者は文壇デビューを果たした。
あらすじ
わたしは恋人から「党」への参加を熱心に誘われていた。わたしには余り関心が持てないが、「党」への入党には「経歴書」が必要だという。しぶしぶながらわたしは「経歴書」の執筆を開始するが、それが受理されると同時に「党」を脱退することを決意する。
最近改めて身近に感じられたのは、倉橋由美子の学友であった方々とお会いする機会があったから。お一人は、パルタイのモデルであられたと。びっくり。
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