HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

本日の日経・春秋

初音ミクだった。絶対ネットから話題を拾ってる。

例によって記事はすぐにきえちゃうだろうから、全文引用。

春秋(8/21)

 人気アイドル歌手の初音ミクをご存じだろうか。テレビには出演せず、コンサートも開かない。ネットの仮想空間から一歩も出てこないから会った人はいない。幼さを残す16歳の少女の歌声が、それでも大勢のファンを虜(とりこ)にしている。

初音ミクは札幌のIT企業が開発した合成音声ソフトの商品名である。パソコンに旋律や歌詞を打ち込むと、思い通りに歌ってくれる。操る側の技の差が歌唱力を左右する。初心者では、いかにもロボット風で不自然に聞こえる。うまく歌わせる「初音ミクの達人」たちが、ネットで自らの作品を競い合っている。

北京五輪では、後で合成映像だとバレた花火や少女に口パクで歌わせた演出が人々の失望を買った。ちょうど同じころ、東京で開いた漫画の祭典「コミックマーケット」で起きた出来事は対照的だ。架空の人間である初音ミクに扮(ふん)したコスプレ女性が登場すると、一目見ようと人だかりができた。床まで届きそうな青色の髪がカッコいい。

▼実物を模した仮想。仮想から飛び出した実物。限りなく近づく2つの次元の近接点から「失望」と「熱狂」という正反対の結果が生まれる。その判断の境目は、裏切られたという感覚の有無だろう。技術は人の五感を簡単にだませる。ならば人は裏切りを見破る第六感を磨かなくては……。

日本経済新聞