といっても、経済の話。
palさん経由で、生産性の話がホットなのだと知った。中心はこの記事らしい。
賃金水準は、絶対的な生産性で決まるんじゃない。その社会の平均的な生産性で決まるんだ。
生産性の話の基礎 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
この命題が経済学的に正しいかどうかなんて私がうんぬんできるはなしではない。ただ、非常に思い当たる節が多いので、日本の国にはまさしくこの議論はあてはなるのだなという私のささやかな経験を書きたい。ま、適当にデフォルメしているので、100%の真実とは受け取らないように。
- たまたま、先日某所で飲んでいたら知人のお医者さんと会った。その方は、某開発途上国(って言っていいのかな?ま、所得水準が日本の10分の1以下の国)に人に誘われて医院を開業したのだという。ところが「だめだね」の一言。当初は期待できるような数字をもらって投資したらしいが、実際に言ってみると衛生水準が日本とは比較にならないとか、サポートする看護士が集まらないとか、とか、とかでとてもうまくいく状況ではないという。しかし、よくよく聞いてみるとそれらの問題は実は解決する目処も立ったのだそうだ。そうではなく、特殊な技術を持っていらっしゃって、国内では大成功していらっしゃる方なのだが、その国ではその方の技術に対する報酬を払えるだけの人があまりにも少ないのだそうだ。「話にならんよ。いや、とにかく疲れた。言っているあいだ中、医院とホテルの往復だったよ。」と言って、この方は夜の街に消えていかれた。
- 社長の能力と会社の成功は比例しないという話をしたい。お蔭様でこれまで何百人、何千人の社長さんとお会いする機会が私にはあった。大変、尊敬もうしあげる経営者の方とも多くお会いした。誰がどうみてもこの方は、立派な志に基づき、お客様を大事にし、哲学を持って社員を指導しているなぁ、と誰もが思う方が多くいらっしゃった。失礼を省みず言ってしまえば、大変不思議なのは、誰からも尊敬される社長さんの会社が、必ずしも大成功しているとは限らないことだ。これは本当に不思議だった。かなり多くの事例でこれは確かめられた。しかし、山形さんが言い切っている言葉で少々腑に落した。「あなたたちの給料が高い理由の大半は、あなた自身の優秀性なんかとは何の関係もない。」これは、店員さんとか「スマイル0円」の方たちだけではない。実は、経営者ですらそうなのだ。あ、ただし、尊敬される社長さんの会社というのは長生きしているようには思える。これは何の根拠もないのだがね。
- 3K職場の話を山形さんは面白おかしくかいているが、人がいやがる商売であればあるほどこれから価値があがるというのは本当だ。私に言えるのは、一部の3K職場といわれるところで若い兄ちゃんがポルシェで通えるくらいの収入を得ているという事実を私は知っているということだ。それから、公共関連で直接雇用されているのお掃除のおばちゃん、おじちゃん、ね。彼らは自他共に認める「現業のエリート」、そんじょそこらのサラリーマンをはるかに越える収入を得ている。これらの3Kは今回の景気の上昇で期待される穏やかなインフレ水準を超えて上昇している。まだまだまだらもようだが、3Kでも選べばポルシェ通勤が待っているというのは、目の前にある真実だ。
- んで、思ったのは、やっぱり日本は閉鎖的なんだな、と。私は2年間くらい海外で勉強していた。マスターといわれるところまで、夏が来ても、冬が来ても、春が来ても勉強した。当時名が売れていた会社からオファーが来るくらいがんばった。三文字ソサエティーにも一応名前が連なっている。でも、大分かますびしいこの議論が適用されるほど日本の社会って、オープンでないんだなと、帰国して血のションベンながしながらつくづく思った。んで、この閉鎖性があるからこそ日本らしさがあるのだというのも実感する。他からみれば、本当に神の国なんだよね。
...てなことをちんたら書いているうちに、分裂勘違い君劇場に新しい記事がアップ!
「嫉妬が渦巻いている」かどうかはともかく、「国際競争が不完全なため」に焦点があたっているのは正解だと、経済オンチな私でも思った。
★追記
トラックバックいただく。李斯の二匹のねずみの話に激しく首肯する。