HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「免震の真実」を読み始める

本当に自分の勉強不足を恥じるしかないのだが、本書の存在すら知らなかった。免震建築、高層建築物に関わる人間は一度は読むべきだ。

免震の真実―耐震神話の再構築へ

免震の真実―耐震神話の再構築へ

本書はいかに建築構造の分野が「みなし」という「原理主義」とも言える材料工学、柱や梁などの部材の挙動を工学的に決め打ちして構造設計をしていることへの警鐘を強くならしている。本書が発行された1999年においてさえ、60m超の超高層建築物や、免震建物の取り扱いは、このレベルであったのかと嘆息する。

ただし、本書の筆者である日本の免震構造を作ってきたと言える多田英之先生ですら9階建て以下の建物は充分に知見が積み重ねられていること、逆に100m以上の超高層であれば(非常に単純化して言ってしまえば)「やわらかさ」が構造上優先するので問題はないとなる。その間の高さの建物の構造計算は、1999年時点ではまだまだ問題が山積しているとおっしゃっている。

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本書の中で、ある意味「みなし」を悪用したと言える耐震偽装事件、東洋ゴムの合成ゴム免震の問題が先取りされている。はっきりと問題があると書かれている。

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まだ、半ばなので読了してからまた読む。多くの方に読んでいただきたい本だ。