HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

安倍首相の「……」

ネットの記事で安倍首相の感想の報道を読んで、いてもたってもいられなくなって息子を連れて「永遠の0」を観てきた。

 冬休み中の安倍晋三首相は31日、東京・六本木の映画館で公開中の映画「永遠の0」を鑑賞した。約2時間半の上映後、記者団から感想を求められた首相は「感動しました」と感極まった様子。印象に残った場面を問われると、数秒間沈黙し、声を絞り出すように「やっぱり、ラストシーンですかね……」と語った。

http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312310160.html

原作は読んでいたが、さすが山崎貴監督と想わせる映画であった。

原作者の百田さん自身がインタビューで語っているように、上官の命令不服従など、右か左で言えば左に近い。戦争指導者を痛烈に批判しているストーリーだとも言える。

この映画は決して戦争賛美でもなければ、自己犠牲を100%是ともしていない。強いて言えば、犠牲を払いながらも、生き抜くこととはなにかを描いている。耐えがたい経験と想い強いられながらも、伝えなければならない命の燃やし方を描いている。大部の小説よりも、映画はこの核となる部分をみごとに切り取って鮮烈に描いている。

山崎監督のこのインタビューの言葉に、より大きな視点から「生きろ!」というメッセージを描いた姿勢を感じる。

個人のレベルでの幸せというのはどういうものなのかということをもっと追求していくべきだろうなと思うんですよ。そういうことを、僕らの価値観というか、教育されてきた価値観だと、どうしても「負け」だとか「ひよって」とか、そういうように思ってしまいがちですけど、そうじゃない視点を見つけるべきですし、負け惜しみじゃない、それこそが幸せなんだよということを。

http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312280175.html

だからこそ、安倍首相の「……」という感想に言外の想いを感じる。国のリーダーとしてかじとりをあやまってはいけない、近視眼的な意思決定をすることの悲劇を痛切に感じられた感想ではないかと、私は勝手に解釈している。

子供と一緒に観て良かったとつくづく感じた。


■追記 1月17日

朝礼に参加してて、突然バンカーヒルの話しを思い出した。著者がこのお二人を意識したかどうか知らないが、「特攻」の持つ意味をよくよく考えさせられる。ちなみに、知覧で読んだ本によると特攻による成功率は比較的高かったとあったと記憶している。半世紀以上経ったいまでもきちんと戦果も、隊員も記録されているのが日本のよいところだと私は信じる。

本書は、一九四五年五月一一日、神風特攻隊の攻撃によって甚大な被害を受けたアメリカ海軍の航空母艦バンカーヒルの艦上で起きた出来事を描いたものである。

特攻 空母バンカーヒルと二人のカミカゼ 米軍兵士が見た沖縄特攻戦の真実 マクスウェル・テイラー・ケネディ

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