衝撃的だった。一卵性、二卵性の双子の研究により、肉体的特徴はもとより、性格、精神疾患などまで遺伝子の影響が大きいことが明らかになっていたのだ。
西洋社会では、統合失調症の遺伝性は高い。およそ80パーセントであり、これは体重の遺伝子とほぼ等しく、性格と比べてはるかに高い数字だ。(単行本版 P.142)
- 作者: マット・リドレー,中村桂子,斉藤隆央
- 出版社/メーカー: 紀伊国屋書店
- 発売日: 2004/04/28
- メディア: 単行本
- 購入: 11人 クリック: 121回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
- 作者: マット・リドレー,中村桂子,斉藤隆央
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/07/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
しかも、知能については年齢が進むに連れ、遺伝子の影響が大きくなるのだと。歳をとってからの方が環境の累積的な影響が大きいと私は信じていた。
大学に入った時点では、カウンセラーを目指していた私には衝撃だ。精神疾患の少なくとも一部は、精神分析、カウンセリングの手法で対応できると信じていた。
後天性、教育により人が変えられるという強い信念が、全体主義、あるいは官僚制としての共産主義につながっているという指摘はもっともだ。その手前の問題として、精神療法は、クライアントの生育歴、特に親との関係に精神疾患の原因を設定することのほうが、かえって多くの親や関係者を不当に苦しめたことになると。
他方、遺伝的要素が強いという見解も優生学的選別につながりかねない。