人は自分の人生を解放できる力を持つと思えるのは、私が限りなく恵まれているからなのだろうか。それでも・・・、と私は想う。
- 作者: 垣根涼介
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: Kindle版
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この言葉は真実だ。人の望みうる限り最高の真実だ。
「だから分かるね、リキ。仕返しをしようなんて思わないことだ。人を恨んじゃいけない。自分の心を檻に入れちゃいけない。憎しみはね、檻だよ。いったんその檻に入ってしまったら、終わりだ。」
心の壁に私たちは囲まれて生きている。憎しみはこの壁を監獄の壁よりも強くしてしまう。
町人根性と資本主義の精神 - HPO機密日誌
人の誠意や、人の知恵、人が人を思う思いやりは、すぐそこにある。リキの周りの女達はリキへの絶対の愛を注いでいる。リキもそれがわかっている。しかし、分かっていてもリキはリキの檻からぬけだせない。誰よりも強く、誰よりも賢く、誰よりも用心深く生きてきても、檻は堅固にそびえるばかりに見える。
しかし、本当にそうだろうか?リキと比べれば、はるかに恵まれた環境に生まれ育ち、いまもそこに依存して生きている私にリキを批判することはできない。それでも・・・、と私は想う。