移動の途中で久しぶりに、和辻哲郎の「続日本精神史」収蔵の「現代日本と町人根性」の続きを読んだ。町人根性こそが、現代の日本を形づくっていると確信した。
和辻哲郎全集〈第4巻〉日本精神史研究,続日本精神史研究 (1962年)
- 作者: 和辻哲郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1962
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和辻哲郎によると、石田梅巌は「倹約を突き詰めると正直、誠に至る」と商人道について語っているそうだ。「倹約」とは、商人道を徹底すること、文字どおりストイックに利潤を追求すること、現代の言葉でいえば果てなき生産性向上運動こそが、商人道の本質であると。ここを突き詰めようとすれば、人は自分の偏見をひとつひとつ乗り越えていかなければならない。生産性向上の一番の障害は、自分の成功体験だと想う。常に、自分の失敗はもちろん、成功すらも乗り越えてくことしか生産性を常に向上させていく手段はない。
先日、ある小冊子に載っていたこのイラストが実に雄弁に語ってくれている。
ニューモラル No.538(平成26年6月号) - モラロジー研究所出版部
人がストイックに生きるということは、自己反省の繰り返し。自分で自分の心の壁に塗り込めた憎しみや、思い込みや、あるいは自分の正義感さえも乗り越えていくことが、仕事の上での発展繁栄の道。まさにここに「倹約を突き詰めると正直、誠に至る」という運動がある。