本書に描かれた花田少年の活躍こそ、死の看取りだ。
- 作者: 一色まこと
- 出版社/メーカー: 講談社
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途中から読み始めて、設定もなに分からなかったのだが、ああ、心に残る物語だなと。最後の番外編での蕎麦屋のお父さんの話しを読んで、これは死の看取りなのだと確信した。人は死ぬときに、やり残した事への思いをもって旅立つ。たぶん、凡人はみなそうだ。そのやり残したことへの思いを聞くだけでも、看取りになるのではないだろうか。いや、やり残したことへの想いを感じてあげることこそが、看取りの最終プロセスなのだ。
死者の代弁者という話しが、「死生学年報」に載っていた。オースン・スコット・カードの作品から影響を受けたのか?と想った。
- 作者: オースン・スコット・カード
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- 作者: オースン・スコットカード,塚本淳二
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花田少年はまさに死者の代弁者なのだ。亡くなったあとに、彼にだけ見える幽霊たちの願いを成就させて旅立たせていく。ひとつひとつの物語に感激した。残した思いは、愛だから。生きている者への想いだから。
考えてみれば、四十九日、一周忌と続く法要も、無言の死者の代弁者行為かもしれない。亡くなって時間がたつ中で、あらためて亡くなった故人に思いをめぐらすとは、その人が残した思いを自分の中で新たにすることだ。
今日は年若い知人の葬儀があった。彼の残した思いは何であったか?言葉にださないくとも、感じてあげたい。