トーベ・ヤンソンのインスピレーションは、北の海の孤島の嵐の晩だと聞いた。筒井康隆は、「時をかける少女」から「七瀬」、あるいは「脱走と追跡のサンバ」から「文学部唯野教授」まで、実に長い期間にわたり印象的な作品を残している。
昔々読んだ、ショートショートでたかだか半ページくらいの男と女についての作品があったが、30年以上すぎた今でも強く印象に残っている。夫が失踪した妻の妄想と現実を描いた短編も、ラストで高級化粧品を煮詰め、ブランド品をびりびりにやぶり、生理用品を引き抜いて裸でベッドに横たわるシーンが忘れようとしてもヴィジュアルに浮かんでくる。ぬぐいさろうとしてもぬぐえないインパクトがある小説空間を作ってしまえるのがやはりすごい。
で、もう少し書こうかと思ったが、ぐぐってみたらだいたい言いたいことは書いていたので、ここまでにしておく。
これをSFと読むとスラップスティックになってしまうが、文学として捉えれば村上春樹を超えてはいまいか?小説や映画の壁をなぎたおしていくメタな連続技でいっても、押井守をはるかに先取りしているように感じる。
[書評] 脱走と追跡のサンバ the show must go on: HPO:個人的な意見 ココログ版
我田引水な結論を用意していたのだが、自分のエントリーを書いて瓦解した。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1976/10
- メディア: 文庫
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もしかするともう少し書き足すかもしれない。