HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

吉本隆明が語ったこと

労働時間でものの価値が決まるのなら、人の時間の量だけですべては決まる。時間の量だけで価値が決まるのなら、計画経済は可能になる。尺度がひとつだけだからだ。

芸術言語論で言葉の価値とは、作者の本質があらわれた一節にあると言っていた。その人の底の底に触れるのは一瞬の時間かもしれない、永遠の時間かもしれない。いずれによせい、価値とはその作品にかけた時間でないことが証明できたのなら、人は自由でなければならない。人の時間の密度は濃かったり、薄かったりする。人の時間をどう使う方はその人の自由だ。人の時間と価値をひとつの尺度に集約できないなら、一意に「公共の福祉」は計画できない。

ハイエクを読みながら、NHKでみた吉本を思い出した。

ハイエク―自由のラディカリズムと現代

ハイエク―自由のラディカリズムと現代