米国から帰国して何が一番つらかったか?
うーん、なんだろう?
考えてみれば、もとからそんなに地域社会と関係が深くなく育ってしまった。高校卒業時にもらったモーリー・ロバートソンの本もごくごく違和感なかった。
- 作者: モーリー・ロバートソン
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1984/08
- メディア: 単行本
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18歳の時点では、自分は故郷にはもどらないものだと勝手に決めていた節がある。以前、新卒の時の面接の話を書いたが(参照)、ほんとうに18才から22才の時って進路に関して不安定であった。今から思い出すと背筋が寒い。そんなに劇的ではなかったが開高健の処女作に共感できた。
- 作者: 開高健
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1984/03
- メディア: 文庫
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バブルのころの日本ってなんというか無国籍、無文化みたいなものへの志向があって影響された。就職後も、成功はしなかったがひたすら海外勤務にあこがれていた。せめて留学したいとかなり長く思っていて、たまたま機会を与えられてワシントンD.C.にある大学のビジネススクールに行った。2年間であったが、実に楽しかった。もう天と地ほどレベルは違うが、高橋洋一さんが米国にいて楽しくて帰りたくなかったという気持ちはよーくわかる。
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/19
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米国で勉強していたころは、ちょうどインターネットが興隆していく渦中だったので、かなりネットにはまって、日本語をネット上でいかにやりとりするかについてまとめた文章をFTPやsci.lang.japanなどで流していた。それを見た、当時日本進出を企画していたAOLからは「うちにこないか」と言われた。
なんかどうしても思い出を美化しがちなのだが、こうして昔を思い出して書いている「私」は、地元にもどってこなくとも生きていけたのだと言いたいらしい。なさけないことだ。いま現在生きている私以外私ではないのに。
それでも、もうすこし思い出にひらさせてもらおう。
95年に故郷に帰ってきたときには、とにかく地域の人間関係とか、日本的な所作とか、礼儀正しさとか、本当になにもわからず、できてもいなかった。いまだに私は、故郷の作法と慣習をマスターしているとはとても思えないのだが、それでも故郷は故郷で処々の関係を父祖が築いてくれていて、周りはちょっとこいつは変わっているなくらいで受け入れてくれてた。
考えてみれば、日本への、故郷への再突入が苦しかったなどと言える立場ではないな、私は。
いま、ごく普通に地元で仕事をし、地元の知人などと酒を飲み、祭りで顔をあわせ、地元でなにができるかを考えているのが楽しい。たぶん私がものごとを徹底して考える訓練がもっとできていれば、地元にもどってはこずに米国に行きっきりになっていたかもしれない。少なくとも、都内で適当に仕事をしていただろう。適当に目の前の物事に影響されながら、その場その場で自分でベストと感じられる方向性に意思決定というよりも流されてきたので、いまここにいるのだろう。
■グーグル里帰り
なつかしい。あまりにもなつかしい。