安彦良和さんの渾身の力が入った名作だと確信。
- 作者: 安彦良和
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2005/02/28
- メディア: コミック
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安彦さんがあとがきでも語っているように、日本が自衛と領土のために道を踏み出してしまったのは確かに日清戦争かもしれない。陸奥宗光氏の、いや当時の日本人の意思としてなんとしてでも不平等条約を改正し、アジアにおける一国でありたいと。それはわかる。しかし、そのために戦争を意図的に起こすことはその時はよくとも、50年、100年先にスケールダウンした謀略を産むことにつながってしまう。
「久坂玄瑞に復する書」(二巻四一五頁)
吉田松陰の朝鮮論: 万年書生気分
「今の計たる、疆域を謹み条約を厳にして、以て二虜を覊縻し、間に乗じて蝦夷を墾き琉球を収め、朝鮮を取り満洲を拉き、支那を圧し印度に臨みて、以て進取の勢を張り、以て退守の基を固めて、神功の未だ遂げたまはざりし所を遂げ、豊国の未だ果さざりし所を果すに若かざるなり」
安彦さんの近代史三部作、満州事変からノモンハンを扱った「虹色のトロツキー」、日清戦争の本作「王道の狗」、そして日露戦争を「天の血脈」で書き続けていらっしゃる。次は日露戦争へと。
■追記
王道の狗はリアルタイムに読んでたが、掲載誌が廃刊になって、かなり唐突に最終回になってしまったのが残念。
https://twitter.com/idiotton/status/682703547956264960
後書きによると、白泉社版はかなりの増ページがされていて、安彦さんいわく「これで決定版とする」ということ。