HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

男の人生

finalventさんの半生記を読了させていただいた。細切れに読みたくなかったので、バンコク行きの飛行機の中で一気読みした。

考える生き方

考える生き方

私がブログを始めるきっかけも、そもそもはてなダイアリーの「finalventの日記」であり、ココログの「極東ブログ」だった。そして、finalventさんのまねをしてはてなココログに住みついて、私も九年になる。早く本を書きましょうと騒いで、奥様に「困ったちゃんがいる」とつふやかれるくらいは自他ともに認める「finalventウォッチャー」だ。それだけに、本書を読むことができて感無量なものがある。

読了して、ああ、男の人生だなと。遠い未来だと思っていた五十歳が見え始め、私の頭も薄くなった今、つくづく感じる。まだ言葉にならないことが多いのだが、いくつか感想を。

まず、年を取ればとるほど過去に向かって人生が伸びて行く感じという話は大変共感した。ひとところにずっと住んでいるせいか、百年数十年前の曽祖父までの人生が体温をもって感じられる。年をふるととともに代々の父祖の人生と私の人生が重なっていくのがわかる。不思議なものだ。幸か不幸か、父母の家系ともに長寿なので曽祖父、祖父の人生とどこまで重ねられるかは、まだまだ長い試練と忍耐が必要だが。

そう、そして、残念ながら私はfinalventさんのような慈愛に満ちた父親ではなかった。仕事を理由に子どもたちと向き合う時間はごくごく少なかった。離婚をきっかけにして、今初めて三人の子供たちと向かい合い始めたところ。ともあれ、比較的結婚が早かったので、私の長子はすでに成人している。finalventさんがおっしゃるように子育てできる、子どもと向き合える時間は短い。

finalventさんが病気なのは何となく知っていた。ただ、自分の身近な人たちの病気からのバイアスでガンだと思い込んでいた。「ロレンツォのオイル」は好きで何度も見た映画だ。finalventさんとロレンツォ君が同じ病気でないまでも似た部分があるということは、私にとって衝撃的だった。

道元と禅についてもうちょっと自分語りしてくださると、自分としてすごく満足だったかもしれない。ま、それはあまりに身勝手な私の願望、単なる一ウォッチャーの迷妄だから。

まあ、本書は全体として、私のような一般読者でも読めるように意図的にわかりやすく書いてくださっている。本気で俺の考えていること、感じていることにものを言いたいなら、ブログ界隈なり、アカデミックな言説で勝負しろと。

これ以上書くと長らく「finalventウォッチャー」をしてきた私は、ついつい知ったかぶりの浅薄な話しをしてしまいそうなので、この辺でやめておく。