そっか、id:finalventさんの「考える生き方」は、書いていらっしゃらないご自身の子ども時代に始まった絶望をいかに克服してきたかという書なのだと。finalventさんの「風の歌を聴け」の書評を読んで、ああそうなんだと想った。この書評は誰にでもない、自身のために書かれたのだと。

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書評では、村上春樹があえて小説の中で明確に書かなかった自分自身の若き日の恋人の死という絶望をどう生き抜いてきたかという観点から見事に「風の歌を聴け」を読み解いていらっしゃった。そして、この「風の歌を聴け」という物語はfinalventさんの書いていらっしゃらない若き日の生き方と重なるのかもしれないと予感した。
しかし、そのことを書くのはあまりに個人的なので、書くまいと決めていた。しかし、哲学的な意味でだろうが、あっさりご自身で認めていらっしゃった。
このあたりは、ちょっとこっそりいうと自著『考える生き方』は実はニーチェ哲学を一つの基軸にしていた。自分というのはどこまでいっても絶望でしかありえないなら、希望というのはその自己の絶望の相のなかで見なくてはならない。
中島義道、『ニーチェ ---ニヒリズムを生きる』、読んだ。 - finalventの日記
人生の最高の幸福とは、少年の日の夏休みの朝だと書いたのは誰だったか。少年の日に幸福感をもっていたか、自分が生きていていいという絶対的な感覚をもっていたか、はそのままそのその人の生き方の基礎となる。
私には哲学書を読みくだす理解力もない、学生時代に一生懸命取り組んだものの学問を学問として進める力もない。ニーチェの「自己の絶望の相でみる希望」なんてツァラトウストラのどこに書いてあったっけ?って感じだ。社会人になってからの人生でも、間違いや、失敗ばかりだ。しかし、どんなに落ち込んでも浮上するパワーが自分のうちから沸き上がってくるのを感じる。これは少年時代以来変わらない。また、浮上していく途中で、必ず助けてくれる、手をさしのべてくれる人がいてくれた。ありがたいことだ。
自分なりにこの浮上パワーの源はなにか内省してみた。結論だけ言えば、子ども時代から親が心底私を信じてくれてきた、愛してきてくれたことに尽きる。この全く根拠のない自信だけが私が私の人生において絶対的な絶望にいたらず、歩を止めることなく進めてこれた根源だ。
と、ここまで書いて自分が自分の子どもたちに、自分の親と同じ信頼感、愛情を寄せられているかはなはだ疑問に感じてきた。finalventさんのことをうんぬんする前に自分を省みよう。もう子どもではなく、親なのだから。
■追記
まぁ、例によってタイムリーな記事が出てた。
母親との関係の暖かさは成年期に長期にわたって重要となることもわかりました。調査から明らかになったことの1つは、幼年期に母親と暖かな関係が築けていた男性は、そうでない男性よりも8万7000ドル(約890万円)も年収が高いということ。
人を幸せにするものは何か?ということがハーバード大学の75年間の研究で明らかに - GIGAZINE