HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」

ひとから教えてもらった言葉。表面的な意味は簡単。

男一人世帯は、どうしても日常生活や身だしなみが不潔になりがちだが、女一人の世帯は小ぎれいにしているので、男たちからもてはやされる。

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なかなかどうして、味わい深いものがある。このことわざは江戸時代にまださかのぼる。そこには、男女の力関係の問題がある。

 江戸文化が豪勢に開花したとされる元禄。それを少し過ぎた享保6年(1721年)の幕府による人口調査では、江戸の人口110万のうちの70万人以上が男。となれば需給の原則。江戸の女たちはかなり強気でした。

女やもめに花が咲く? そんな理不尽、オレは許さん!:日経ビジネスオンライン

江戸時代の女性は今の女性と同じか、もしかするとそれ以上に強気だったと。うーむ。昔を美化しちゃ行けないという典型的な話しだね。

死に別れ、離別のインパクトが男女ではまったく違うのは確かだ。「女やもめ」たちの話しを聞いていると、別れた男のことは記憶の中から削除されているようだ。ある女性は「元だんな?うーん、もう顔も忘れた」とあっさり語った。

逆に女房に先立たれた男は悲惨である。
何をどうしてよいか、さっぱりわからない。
何より困るのは、身勝手な八つ当たりを受け止めてくれる相手がいないことだ。
おい!と言えば何でも用が足り、バカ!と言って威張っていればよかったのが、
返事が返ってこないのだ。これは情けない。
いつか生活全般投げやりになって、みすぼらしくショッタレていくのである。
再婚話など誰も持ってきやしないのである。

絵空ごと: 女やもめに花が咲く

いやいや、まったくもって同感。独り身になって一時的には開放感があるかもしれないが、長い目でみたら女手なしでは生活は維持できないもの。

そうそう、そもそも夫婦でいたって中年以降は妻の方が結婚生活に不満を持ちやすい。

40代から60代までの男性で精神的に不満足であると回答したのは10%以下。一方の女性はどの世代においても20%が不満足、特に50歳代半ばの熟年女性のうち、約35%は精神的に不満足であると回答しています。

熟年夫婦の性交渉では女性が男性の3倍も不満足 : 熟年 夫婦生活の実態

人と人とが生活を一緒にすることは、矛盾以外のなにものでもない。親兄弟ですら、なかなか利害があわなくてけんかになるのに、他人同士が生活をともにしてうまくいくわけがない。その絶対的な矛盾を止揚してしまうのは、セックスしかない。下品かもしれないが、愛と尊敬の底を確かめあう確実な方法だ。逆に言えば、多くの夫婦がセックスで傷つき、悩み、別れている。

まったくもって皮肉なのは、妊娠、子育てのプロセスが一番大変な20代、30代は男性のセックスへの欲求が女性のそれを上まり、40代以降、つまりはようやく二人の人生をともにできる時代になると、女性の欲求が男性のそれをうわまる。欲求の強度の差は、当然不満を生む。生まれた不満はどこかで解消される。ここに男性と女性のそれぞれの罠がある。悲しいことだ。