ロンドンでの高層集合住宅での火災による死者が79人を超えたとの報道に心痛めている。亡くなられた方の魂のやすらかならんこと、残された方々の生活が一日も早く復旧することを祈りたい。
建築に関わる者としてこの事故は他人事ではいられない。すでに、外装材の問題でここまで大きく火が燃え広がったことが伝えられている。
この問題の外装材も特定されている。
【6月27日 AFP】英ロンドン(London)西部の高層住宅「グレンフェル・タワー(Grenfell Tower)」で起きた大規模火災に関し、建物の外装材を供給していた米企業、アーコニック(Arconic)は26日、高層建築物への同じ外装材の販売を中止すると発表した。
この外装材は「レイノボンドPE(Reynobond PE)」。同社広報担当者はAFPに対し、「アーコニックは高層建築向けのレイノボンドPEの販売を全世界で中止する」と述べ、「グレンフェル・タワーの悲劇を受けて生じた問題」が販売中止の理由だと説明。低層建築物向けの販売は続けるとしている。
6月14日に発生した火災では、24階建てのグレンフェル・タワーが瞬く間に火に包まれた。79人が死亡したとみられている。
英イングランド(England)にはグレンフェル・タワーと類似の外装材が使われた高層建築物が600棟あるとされており、現在、検査が進められている。サジド・ジャビド地域社会・自治相(Sajid Javid)の26日の発表によれば、これまでに75棟から採取したサンプルに対して安全性検査が行われ、すべて不合格となっている。(c)AFP
火災の英高層住宅で使用の外装材、高層建築物向け販売中止 米社 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News
ちなみに、アーコニック社とは世界最大のアルミ製造会社、アルコア社が二つに分かれてできた会社。
Alcoa separates into two independent companies, Alcoa and Arconic
After 128 years of operating as a vertically integrated company, Alcoa separates its mining/refining/smelting and power businesses (retaining the name "Alcoa") from its fabrication businesses, now known as "Arconic."
Alcoa -- Our History
この記事中の「レイノボンドPE」の施工マニュアルの必要部分を読んだ。この外装材は、アルミのサンドイッチパネルです。コアが「ポリエチレンまたは断熱材(耐火)」とある。
http://bit.ly/2tesw7l
PEとはポリエチレンのことだと考えられる。ポリエチレンが建築材料で使われる場合は不燃以上の性能となるように混合剤を入れられているはず。今回は、冷蔵庫が原因で大きな火災が一部屋でおこり、古い建物なのでサッシュのガラスが網入り等ではなく火が外へ燃え広がり、外壁がかなりの高温に達し、固体としては不燃であるはずのポリエチレンが気化して外壁で燃え広がったのではないかと私は推測している。
ごく近年にこの構造集合住宅は外装の更新を行ったと報道されていました。その時のリフォームでこのアルミサンドイッチパネルが付加されたのではないだろうか?
関連記事が日経アーキテクチャにも掲載されていた。
■追記
続報が日経アーキテクチャに掲載された。避難路の確保という基本的計画の問題と、ドア、窓の防火性能、外壁の問題が指摘されていた。