HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「隠し剣 鬼の爪」

いさぎよい生き方を感じた。男は不器用な方がいい。

隠し剣 鬼の爪 [DVD]

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松たか子のぼくとつとした娘役に涙をさそわれた。

たそがれ清兵衛」の宮沢りえの毅然とした武家の娘の生き方も美しかった。山田洋次監督としては、武家と農家の娘を対比させたかったのだろうか。

たそがれ清兵衛 [DVD]

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少々田舎じみているとはいえ、「間」のあき方が絶妙だった。邦楽の尺八の間というのだろうか、空間や時間を埋め尽くそうとするのではなく、その「間」が日本においては美しさを作る。雅なものではなく、ごく普通の日常の「間」が美しい。*1

次は、「武士の一分」だな。

武士の一分 [DVD]

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*1:この意味で、西洋の演劇にすこし触っていた時に、長いセリフがクライマックスなのは理解できる。ある音響関係の人に、「音の響きが世界をつくる」という話をされていた。私もリア王を演じた時に、観客席の最後部から一声うなりはじめたとたんに「この空間は私の空間だ」と感じたことがある。日本の邦楽はひびきではなく、空間に溶け込んでいくように消えていく。この辺も対照的なものがあるかもしれない。