HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

目標がひんぱんに変えられてしまうと訓練効果が出にくくなる

冬休みの宿題第一弾。以前、話した訓練効果がターゲットとなる目標が変わる状況下ではいかに出にくいかのシミュレーションを作ってみた。

なんとかシミュレーションして再現したいとおもっているが、生産工学的に言えば、品質管理で的を動かすといつまでたっても品質(偏差)が小さくならない。ひとつのターゲットをきめたら、ひたすらそこに打ち込むことしかない。的を動かし続けることは、カオスへの道だ。

不況のつけを政治に回すのでなく、家族みんなで解決しようとすればいいのに - HPO:機密日誌

全体の構成。

表の一番右が目標とする数値。二番目が試行毎の結果。目標(target)との差を"training"欄の数値分だけ毎回「向上」させることができる。毎回の試行でなんらかの間違いなどが発生するはずなので0から1までの一様乱数を発生させ"bias"の比率で加えている。

当然、目標が変わらなければ漸近していく。

条件を変えて、目標値"target"を一様乱数で変化させてしまうと、訓練効果が出にくくなる。


下の緑色の棒グラフがどれくら試行の値が目標値に近づけたかを示している。試行全体を通して減っていないことがわかる。

だが、残念ながら「カオス」という状態にはほどとおい。要は、各回の間違いや、目標値の動きよりも訓練効果の係数が大きければ漸近するし、そうでなければいつまでも動き回るだけという関係をデモンストレーションするのにとどまった。

デモンストレーションとしては、こちらは本当にカオスのグラフなので説得力があるかもしれない。

これはコストの動きを売値がゆっくりと追いかけていく様をロジスティック式を使ってシミュレーションした時、係数を変えると片方がカオスを生じる様子を示している。一般庶民からみると、政治も世界経済もみんなカオスに見えてしまうものだ。あ、私も一般庶民ね。

ちなみに。

すり合わせ神話の最後の砦だったトヨタが没落した以上、「日本的ものづくり」を輸出しようなどという中谷巌氏の主張も時代錯誤だ。

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この池田先生のエントリーを読んだときひとごとだと思っていた。しかし、よく考えてみると私のやっている仕事は「すり合わせ」産業そのものだと気づき愕然とした。私から見たときにカオスにしか見えない世界で、いかに普遍的なものを見るのかが大切なのだろうか。カオスというより、私には混乱しか見えないのだが。

■追記

いやぁ、勢川さんに大賛成!言いたいのは、まさにこのこと。

目標を立てるのに「できそうかどうかが分かるまで目標としない」というのは本末転倒だと思うけど、「目標管理制度」に犯された文化の中では当たり前になっていて、戦うのには結構エネルギーが要ります。短期達成目標だったらまだ分かるけど。

できることを目標にするのが正しいのか - 勢川びきのX記:4コマブログ