明日、いや、あと数時間で旅立つというのに、「鬼麿」を読んでしまった。
- 作者: 隆慶一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1990/04/27
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
網野善彦との関連などで本書を読み解くことは可能であろう。事実本書の解説は実に的確に隆慶一郎の魅力をこの視点から書いている。
が、いまメモしておきたいのは、「惚れる」ということだ。本書にでてくるおりんは、鬼麿が敵だとしりながら、むざむざと犯され、鬼麿に「惚れて」しまう。「惚れた」女は男のために命をかける。それは、男のファンタジーだというのは簡単だが、隆慶一郎が書くと生き生きと見えてくる。
いろいろなことがあって、どうにもこうにも男女の仲を信じられなくなっていた。信じられないがゆえに、たとえ、2ちゃんの話題であっても、男女の「惚れた」という話しに触れると涙が出てくる。どうしようもなく貴重なものに思えるからだ。