HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

渡辺京二の饒舌

読み終わるのに何年かかってんだろう?ようやく最後が見えて来た。

北一輝 (ちくま学芸文庫)

北一輝 (ちくま学芸文庫)

某銀行の出している会員向けの雑誌に渡辺氏が連載をしている。実にしぶい。着眼点も、その分析も、実に大人だ。関心している。

その渡辺さんが本書では実に饒舌だ。繰り返しや、引用など気にせずに、北一輝という人物について語っている。

こんなに大人の渡辺さんを酔わせるだけの文章を書いたというだけで、北一輝という人物を評価したくなる。

枝葉末節なことであっても、毛沢東の出現を予言したとか、日本と中国が対立し、米国とも戦わなくては行けない時には日本は滅びるだの、北一輝の先見性には改めて驚かされる。しかし、その夢想的な社会主義には全く私はついていけない。

ひまがあったら、もう少し書くかもしれない。




帰りの道すがら、考えた。

そう、渡辺さんは、北一輝に恋をしているのだ。毛沢東が自分のヒーローだったと語ってくれた人がいた。渡辺さんの饒舌は、まるで恋人を語るようなきぜわしいまでのリズムをもっている。

カリスマというのは、時代を超えて人を恋させる力を持っているのか。