HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「時間の矢」を読みはじめる

時間の矢 コンピュータシミュレーション、カオス―なぜ世界は時間可逆ではないのか?

時間の矢 コンピュータシミュレーション、カオス―なぜ世界は時間可逆ではないのか?

むちゃくちゃおもしろい。

クリトロフは、過去と未来がこのように対象に結ばれているという理由で、ニュートン方程式の範囲では非可逆性を理解できないと強調した。最近になって、シュメールとルエールはこの見解を繰り返し、非可逆過程を記述するには、古典的運動方程式を新しく拡張しなければならないだろうと示唆した。しかし、コンピューターで数値実験できるようなってみると、そのような拡張はいらないことがわかった。結果を分析すると、おもしろいことに時間対称性が至るところで破れていたのである。一般的に、時間を前進する数値実験は、逆行するものよりずれに対して鈍感であり、それゆえより安定している。この感度の差から、対称性の破れと私たちを取り巻いている非可逆の単純な幾何的理解が、二つながら導かれる。また、勾配が正常に定義できない特異な分布である奇妙なフラクタル分布も、そこから生じる。ある方向には局所的に滑らかだが、他の方向には激しく跳んでいるフラクタルは、全ての長さのスケールでべき乘則を示す。