HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「住居コストを飛躍的に安くする方法」は実現しない

これまで通信の発達が田舎住まいを可能にして、住居コストが下がっていくだろうと何度も言われてきた。

しかし、通信が発達し、道路網が整備されるほど、需要は都市に吸収されていく。また土地のブランド価値も格差がつくばかりで、地価は都市部において高くなる。日本全体でみれば一極集中がますます進む。田舎がどれだけ住居費用が安くなっても、生活の基盤自体が一極集中していくため、価値のない「安さ」にしかならない。田舎に住むものとして非常に残念でならない。

中山 政府機能が東京にあり、外資系企業の本社機能の九割が東京にある。国際的な展開をしたい企業は中枢機能を東京に移さざるを得ない。インターネットが普及し、企画部門、管理部門などは東京においても、製造部門との交流に支障がなくなった。高速道路のストロー効果と同様です。東京の人口は全国の一割ですが、企業数の約二割が都内、資本金百億円以上の企業となると全国の五五%。そして法人税九兆円のうち四兆円が都内で納められています。高度成長期には、地方から労働力が供給されましたが、企業の海外進出が活発になって以降、日本の農村は経済的な価値を失いました。

「高速道路のストロー効果」 - HPO:機密日誌

これは政府答弁の議事録からの引用だった。ここに示されるように、通信が便利になると価値を生む仕事は逆に首都圏、もっと言えば東京に吸い上げられるばかり。都市から農村へではなく、ますます農村から都市への集中が進む構造になっている。

べき乗則と首都圏経済白書: HPO:個人的な意見 ココログ版

なぜこうなるのかな?

不動産マーケティングで、「ショッピングセンターの集客力は、商用床の面積の自乗に比例する」という法則がある。これはべき乗則そのものでもあるのだが、結果はラジカルだ。相対的に商業集積の高いところはますます高くなり、相対的に低いところはますます低くなる。結果、「日本の農村は経済的な価値を失」う結果に直結していく。

結果、「中途半端な田舎」ばかりが量産されていく。

大変残念でならないが、不動産マーケティングの自乗の法則により、「中途半端な田舎」で成立するショッピングセンターや、ロードサイド店舗が供給コストと需要とのバランスした経済合理性なのだろう。これらの店舗網で扱える以下の需要では維持不能になるため、都会の一部でしか成立しない専門店となる。繰り返すが、ネットでの販売が増えても需要と供給の一極集中の構造は変わり得ない。逆に、「インターネットが普及し、企画部門、管理部門などは東京においても、製造部門との交流に支障がなくなった」のだ。

結果、「中途半端な田舎」がチェーンストア理論による「国民の真の豊かさのために、より安い商品を全国どこでも、誰でもが享受できる」という理念を提唱した渥美俊一さんの大功績だということになる。

この姿がいまの日本のひとつの極相林なのだ。

だが、この「中途半端な田舎」が維持コストの限界を迎えるとき、劇的な一極集中、相転移が起こる。