HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

IMAX版AKIRA、あるいは人類の災禍の隠喩

もう何回見たかわからない。何回読んだかわらかない。でも、2020年にIMAXで見れる幸せを実感した。

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1988年、31年前のフィルムをIMAXの大画面に映し出しても、まったく劣化を感じない。冒頭のバイクのシーンの暴力の迫力にどきどきした。取り調べ、学校、アーミーの本部の描写も細部まで描かれていてCG、デジタル全盛時代のいま見ても違和感がまったくない。大友克洋すごい!よくぞここまで書き込んでいた!*1

いまの時期なので、「AKIRA」に新型コロナウイルス疾病をついつい重ねてしまう。以前から「AKIRA」は人類の災禍の暗喩たりえるとは考えていた。

危機的な状況ほど知見を積み上げるのが大事(個人的メモ) - HPO機密日誌

鉄雄の解き放たれていく「力」。そのもたらす破壊、戦闘、パニック、狂信。新型コロナウイルスの現在進行形の世界への影響を想わせる。新型コロナウイルスにより生じた、大恐慌を上回る不景気、大国の対立、暴動。更にはこれから問題になってくるであろう医療活動の停滞による感染症コンボ。どれだけのパニックが広がるかわからない*2。クライマックス、ラストのAKIRA、鉄雄の力の発現に至っては、新型コロナウイルスの破壊的な力の発現に見えてしまった。*3

新型コロナウイルスも、元はと言えば人類の環境破壊、温暖化、交通網の高速化・緊密化によって加速的に世界的な災禍となった。自分の力の成長に制御をうしなった鉄雄を誰も笑えない。いつかは、この災禍を振り返って人類の進化はあの時「もう、はじまっていた」と言える日は来るのだろうか?

*1:もう全く同感!【レビュー】やっぱり「AKIRA」は凄かった、4Kリマスター版のIMAX試写で打ちのめされる - AV Watch

*2:私は武力衝突、国内暴動が広がるとすればワクチンの開発、リソース分配をめぐってだと考えていた。hpo.hatenablog.comコンテイジョン」を見た時から、米国で医療従事者の職場放棄が伝えられた時から、自分の浅はかさを痛感はしていたが、米国の暴動を皮切りに世界でこんなに暴力が広がるとは想っていなかった。

日本は5月中に緊急事態宣言を解除できたのは本当に僥倖。

*3:余談だが、金田ってどういう存在なんだろうと。幸運力というか、あまりに間が良い。これはもしかして、インターステラのように次元の彼方にいってしまった鉄雄が時間をさかのぼって金田を助けていたのではないだろうか?漫画版でなぜ金田が「あっち」に行ってしまっていたか説明された記憶がない。あとで確かめようかなと。あと、金田のファーストネームってなんだっけかなと?