HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

人事という閾値との戦い

世の中が新入社員で湧いている時期に論じるべき問題ではないかもしれない。人事畑の経験は気がつくと長いため、この方のおっしゃっている「定期異動」がどんなものかよくわかる。

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ほとんどの企業において、かなり均一に優秀な社員が採用できているため、当初10年あまりは差がつかない。いや、差をつけない。なおかつ、異動、業績考課、昇進、ほぼすべてに渡って、平均近くで半分で判断するか、上から2割、つまりは平均から1σ程度のところで切ろうとする。そんなところに閾値を設けて人が人を判断できるわけはない。人が人を判断する時のバイアスはどれだけ種類が多く、どれだけ強いかは言うまでもない。

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正規分布の分かりやすいまとめ | 全人類がわかる統計学

ちなみに1σはほぼ偏差値60。偏差値受験の呪いとも言える閾値の設定の仕方だ。「平均よりは上、そこそこ勉強はできるが超難関校は受かるわけがない」、というクラスだ。

これから上位3%、2σであれば案外判断できる。業績考課のSクラス。ここのクラスを特進させる、あるいは特別な地位につけるとほかの80%なり、97%の同期がやるきを失うというのが、保守的な業績考課、大量の定期異動の根拠だ。誰かを特別扱いさせない、もしくは多少特別なことがあっても大量に動けば目立たないという人事の姑息な心理がいまだに横行している。

実力主義人事が一度もてはやされたが、導入した企業はほとんど衰退している。同一賃金、同一労働、あるいは雇用者側も、従業員側も、ドライな人事ができなかったためだ。

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じゃあ、お前はどっちを採用して人事を運用しているのかと聞かれれば、中小零細に身を置く私としては超保守的で業績考課、異動、昇進において誰も意欲を失わない方針で運用している。それが日本の現在にあっているからだ。

しかし、最近の若者たちを見ると、日本も真剣に米国型の人事制度に移行しないと企業活動ができなくなるように思えてならない。

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