「パターン認識」という言葉を始めて知ったのは、長尾先生のご著書であったと記憶する。長尾先生がかなり貢献された日本の郵便番号の自動読み取りは世界でも最も成功したケースだと聞いた。
- 作者: 長尾真
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1985/12
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
その長尾先生と「東大ロボ」で有名な新井先生の対談が面白くないわけがない。
新井 長尾先生は『「わかる」とは何か』(※12)という著書で「意味」のお話をお書きになっています。機械翻訳の場合、記号列どうしの直接の対応関係を考えればよいということなので、意味の部分を実はバイパスして(省いて)しまっていますよね。
このお二人の最大の接点は「わかる」だと想う。長尾先生はパターン認識、たぶん形式論理における証明機械を成功させていても、人間の「わかる」ことの柔軟さに機械がおいついていないことを痛感されているのだろう。一方、新井先生は、東大ロボをかなりのレベルまで育て上げられて、逆にいまの人間の側の学生の「わからなさ」に気づかれたと。人間の側の知的な側面を十分に機械は追い越している。しかし、それでも人間の「わかる」の本質は明らかになっていない。
ここまでの人工知能の研究はデッドエンドを乗り越えられずにずっといた。しかし、これだけ世界をあげてAIに取り組んでいる今、なにかの突然変異が生まれるのではないだろうか?この先の未来がとても楽しみ。