HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

改正ホテル旅館業法はまさに羊頭狗肉

15日に施行される民泊新法をめぐるお役所の対応があまりにひどい。世間では、AirBnBさんの血をはくようなエントリーには大変関心があつまっている。

6月1日、国土交通省観光庁観光産業課長通知が、Airbnbを含む各住宅宿泊仲介事業者に急遽一斉に発出されました。同通知によれば、届出番号、あるいはその他のホスティングをするための正当な理由(許認可等)がないホストの方は、既に確定済みの予約であってもキャンセルしなければならない旨が通知されています。

この通知は、過去に観光庁からお示しいただいていた対応方針と異る内容で、Airbnbにとっても驚きでした。多くの訪日観光客の方々のご旅行に大きな影響がないよう、本日6月7日も含め、本通知が発出されることが判明してすぐ、観光庁と議論を重ねて参りました。非常に残念ではありますが、観光庁に柔軟な代案をご検討いただくことは叶いませんでした。

日本へのご旅行を予定されているゲストの皆様へのサポートについて - Airbnbプレスルーム

民泊新法の施行と同時に改正ホテル旅館業法も施行される。同法は当初「無人フロントができる」と期待が膨らんでいた。

④ 玄関帳場等の基準の緩和
厚生労働省令で定める基準を満たす設備(ビデオカメラによる顔認証による本人確認機能等のICT設備を想定)を、玄関帳場等に代替する機能を有する設備として認めることとする。

顔認証による本人確認機能などを備えたICT設備を、フロントの代替設備として認めることも盛り込まれている。

民泊、「旅館・ホテル営業」許可も選択肢に? 最低客室数廃止と無人フロント可で浮上も 旅館業法施行令の改正、今月下旬に公布へ | 民泊大学

この記事の後半に書いてある「衛生等管理要領」によるとこれはまったくの期待はずれであった。

4 宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置として、本人確認を行うこと。具体的には、対面又は対面と同等の手段として以下のいずれの要件にも該当するICTを活用した方法等により行うこと。
1)宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。
2)当該画像が施設の近傍から発信されていることを確認できること。当該方法の例としては、施設等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末等による方法が考えられる。

(中略)

(5) 次の全ての要件を満たし、宿泊者の安全や利便性の確保ができていること。
1) 事故が発生したときその他の緊急時における迅速な対応のための体制が整備されていること。緊急時に対応できる体制については、宿泊者の緊急を要する状況に対し、その求めに応じて、通常おおむね10分程度で職員等が駆けつけることができる体制を想定しているものであること。
2) 営業者自らが設置したビデオカメラ等により、宿泊者の本人確認や出入りの状況の確認を常時鮮明な画像により実施すること。
3)鍵の受渡しを適切に行うこと。

人を介して関係省庁に確認したところ、「一方的にホテル側が旅客を確認できるだけでなく双方向のテレビ電話でなければだめ」、「宿泊者名簿(いわゆる宿帳、チェックインのカード)の記載は予約時のデータの認証ではだめで、再度すべてフロントの眼の前で書き込む必要がある。また、チェックインしてからの名簿の記入では認められない」等々。ICTなどではまったくなく、マンツーマンの有人での確認しか認めるつもりはないと明言している。対面での本人確認でも、サインもしくは、「記載事項に虚偽はない」等にチェックしてもらう以上に本人確認はできないだろう。ICTを介した本人確認とどこが違うのか?お役所の考えていることがまったくわからない。