ウェルズの「タイムマシン」というSFは実に示唆に富んでいる。発達した科学により地上人と地下人に別れた未来世界。地上人は仕事もせず文字通り花畑で遊ぶしか能がない。戦う力も勇気もない。国、組織としてまとまることもできない。
- 作者: ウェルズ
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2013/12/20
- メディア: Kindle版
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最近、実に恐ろしげな世界情勢の記事に接する。中露が主導してトルコや、カザフスタン、そしてフィリピンと独裁国家間で協力関係が築かれつつあるという。当然、それらの国は反米で一致している。民主主義の潮流にも自分達の権力を浸食されるだけだと反発している。単純な力が「自由、平等、博愛」という思想にはるかに優るのだとデモンストレーションしているようだ。
米大統領選が十一月に迫る中で、中国とロシアが「反米同盟」を公然と主導し始めた。米国中心の国際秩序にことごとく反旗を翻し、自国に有利な国際環境を作り出す狙いで、中露周辺の独裁国家群を次々と自陣に抱き込・・・
中露主導「独裁国家連合」の増殖 | 【公式】三万人のための総合情報誌『選択』
民主主義の旗手であり、守り手であったはずの米国もグローバル化を諦めているように見える。
反グローバル化の機運が世界を覆っている。英国は欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を決め、米国とEUとの環大西洋貿易投資協定(TTIP)の交渉は行き詰まり、米大統領候補は内向きを競う。2008年のリーマン・ショックを、貿易協定を武器に保護主義に背を向ける方法で乗り越えようとした雰囲気も今は昔。国をまたいだ貿易や投資を制限する保護主義は、世界経済の脅威だ。
反グローバル化と向き合うリスクマネー 編集委員 梶原誠 :日本経済新聞
これらの動きを俯瞰する時に、ウェルズの未来が来てしまったのではないかと想えてならない。
歴史の始点にいた奴隷は、本能的に臆病であったため、血なまぐさい戦いにみずからの生命を賭けることを辞退した。歴史の終点にいる最後の人間は、歴史が無目的な戦争に満ち、そのなかで人々がキリスト教徒とイスラム教徒の、プロテスタントとカトリックの、あるいはドイツ人とフランス人のどちらかにつくのかをめぐって争ってきたことに気づいているため、ある大儀に生命を賭けるような愚かな振る舞いはしない。
米兵は「最後の人間」か?: HPO:個人的な意見 ココログ版
広い範囲で技術の理解が広がることにより生活レベルでの技術は定着するのであろうに、技術は高齢化を支持することによって世代交替のスピードを遅くし、生活レベルの向上により逆に「オメガマン」(最後の人間)となり技術の革新に理解をしない人間が増えて来る。
「もったいないからおもいやりへ」 - HPO機密日誌
なにができるという訳ではないが、多種多様な交通機関が世界の果てまでの安価で快適な移動手段を提供し、携帯電話とネットワークが世界の隅々まで連絡を取り合うことを可能にした現代において、退行としか想えない動きが連続してることに恐怖を感じる。