テレビドラマの「漱石の妻」に刺激されて「道草」を読み始めた。著作権切れでKindleで無料で読める。
- 作者: 夏目漱石
- 発売日: 2012/09/27
- メディア: Kindle版
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1ページ、1ページ、間違いなく読んでいる。既読であるにもかかわらず、読んでいてまったく先の展開が思い出せない。ストーリーでなく、ちょっとした独白や、漱石一流の観察力、そしてなによりその描写の力で漱石の小説の「読ませる力」はできているのだと改めて想った。
それにしても、健三とお住の夫婦の間の「ディスコミュニケーション」、そのひやっとしたやりとりがよく伝わる。漱石と鏡子夫人のやりとりがスケッチされていると改めて感じる。たぶん、本作で描かれた養父とのやりとりがが次回、第3回の「漱石の妻」で展開されるのだろう。
漱石の妻、鏡子さんの回想記「漱石の思い出」には、留学先のロンドンから戻った漱石が神経衰弱を患い、妻として家庭を維持するのがいかに大変だったかが生々しく描かれています。でも同じ事が漱石のペンにかかると、産後のヒステリーで精神不安定になった妻と暮らす夫の苦悩として、緻密に描出されます(「道草」)。同じ日々の事でも妻と夫の言い分は全く正反対。お互い、相手が病人で大変だったと語っている。
「夏目漱石の妻」 第1回・第2回 - HPO機密日誌
確かにと頷きながら読んでいる。