HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

弥富式賞与決定法

必要があって、職場で弥富式の話しをした。

弥富賢之
人事院に在籍中公務員の労働関係や給与制度を確立。その後本田技研にて賃金人事制度を構築。昭和35年賃金管理研究所を創設。
以後大小6000社に賃金人事制度を導入。その理論は特に各地の中小企業に根強く息づいている。

評価と処遇のページ

弥富式賃金のコアは、業績考課から賞与を決定する仕組みだ。会社の業績により、賞与に割り当てるべき原資は決まってくる。当たり前だ、稼いだ以上は賞与にできない。で、業績とは、組織全体として達成した部分と個人の力によって達成できた部分にわかれる。従って、以下の式に基づいて賞与の合計を決める。

賞与原資 = 基本給月額の合計 × 比例分月数 + 基本給月額の合計 × 評価分月数

組織と個人の力が同じ比率であるなら、たとえば比例分月数1.0、評価分月数1.0とし、2.0ヶ月分を賞与原資とする。今回は詳しく説明しないが、弥富式では等級と号数で基本給が決まる。この個人の等級と業績考課の結果の標語で評価分の各人のポイントが決定される。

弥富式

このポイントの合計で、「基本給月額の合計 × 評価分月数」の金額を割ると1ポイント当たりの単価が出る。この単価を各人のポイントにかけ戻してやることで、各人の賞与の評価分が決まる。実際には、以下の式となる。

各人賞与 = 各人の基本給月額 × 比例分月数 + 1ポイント当たり評価分単価 × ポイント 

基本給そのものが、これまでの業績の積み上げで決定されるため、各人のこれまでの評価の累計となっている。また、等級と標語でポイントが決定されるのも、等級は役職が高いものほど高い等級となっているため、業績の累計を反映していることになる。職能給のシステムでは、もっとシビアに部長の席に座ったら年俸でいくら、部下なし役職だったらいくらとすることになる。弥富式は年功序列、長くひとつの職場に勤めることが前提で設計された制度だと言える。しかし、ベンチャーではない中小企業にとっては、安定的に人を評価し、処遇することができる制度だと私は捉えている。

大企業にとっての賃金制度、中小企業の、ベンチャーのという議論をどこかでがんがんやってみたい気がする。