HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS 」

なかなかよい美術展。近くに良質な美術館があるのは、本当に貴重。ちょっとお茶しにいくつもりでいける。

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イラストレーションの分野で特異な才能を発揮し、90年代以降のサブカルチャーに大きな影響を与えてきた五木田智央(1969-)は、10 年以上にわたり大型のカンヴァス作品を国内外で発表し続けてきました。美術館での初の展覧会となる本展では、11点の最新作を中心に、未発表のドローイングや国内初公開となる大型作品など約90点を展観し、多彩な五木田智央の現在に迫ります。

五木田智央 TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS

五木田氏に関する予備知識なしで作品を見ての感想は、「『軽蔑』に代表されるように中年女性、すなわち母親にコンプレックスがあり、対人恐怖症的な性格になったためせっかく描いた顔を白黒のグラデーションでつぶすんだ。目も合わせられないから、抽象絵画チックな中で小さな丸い目を書き込む。黒いうにゃうなにゃした作品群を描いた2000年代前半は完全に鬱で、女性器を想わせるカラーの作品群を描いた2010年前後に女性とのセックスの快感に目覚めた。いま、ようやく母親とのコンプレックスに立ち向かえるようになって、今回の展覧会のための描き下ろし作品群までたどりついた」と。

でも、インタビューみるとかなりまもと。「男の顔にナイフを突き刺す女」とか、「なまけもの」とか、「昼下がりの情事のエプロンを外して抱き合っている男女」「快楽を形にした作品」とか、作品に関する想像はまちがってなさそうではあるけど。

五木田:ありますよ。あらゆる文脈に対してどう進んでいくのかとか。ここまである種とんとん拍子で来ちゃったから、この先はきっとまたどん底に落ちるんだと思う(笑)。まぁ、どん底には慣れているから、来るなら来いって感じですけど。でも、絵を描くことは絶対にやめなかったから、それさえ続けていれば何とかなるとは思っています。とはいえ、イラストよりもアートのほうが自由ってこともないんですけどね。売れ線のシリーズがあれば「これに近い感じのものを描いてよ」とか、そこまで露骨ではないまでも言って来るギャラリストも多いですから。

ヘタウマを超える、ヘタヘタ画家への道 五木田智央インタビュー - アート・デザインインタビュー : CINRA.NET

もっと過去の五木田氏の作品を見る必要があるかもしれない。なかなか骨のある方らしいので、楽しみ。