HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「熟女とのススメ」のなにが悪い?

法律ありきで、人と歴史が見えていない専門家が嫌いだ。

朝日新聞の別冊版にある人生相談コーナーに男子中学生が性の悩みを打ち明けたところ、回答者が「熟女とのセックス」を勧めたことが問題になっている。「18歳未満に性行為を助長する言動は法律違反となる可能性もある」と専門家。

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昼間に発作的に連続ツイートした。

もう少し引いて考えてみよう。そもそも、法律の解釈としても上野千鶴子の意図からすれば淫行罪にはあたらない。

…本条例(福岡県青少年保護育成条例)一〇条一項(当時)の規定にいう『「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為』をいうものと解するのが相当である。

淫行条例 - Wikipedia

「熟女」が自分の性欲を満たすために性交を行うのではなく、「未成年」側が真摯に自分の性欲にどう対応すればいいのかを悩んだ末に「性交」に及んだとすれば、淫行罪ではない。それはちょっと前まで日本中の村々で行われていた「夜這い」だ。上野千鶴子の言っていることは歴史風俗的にも正しい。

《夜這いはだいたいこの若衆入りと同時にはじまり、若衆入りの際の相手はどこでも後家さんが主体だった。後家さんが足りないと四十以上の嬶(かかあ)が相手をしてくれることになる。

(中略)

 《つまり、ムラでは十三か、十五になると公式に性交教育を受け、あとは夜這いで錬磨した。(中略)性交させない性教育など、かえって危険である。いまの小学生の性教育など「性知識教育」で、あんなものは教えない方が、まだよい。(中略)》

『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』

人生五十年がいまでは人生八十年だから約七掛け。上野千鶴子の64才に七割を書ければ40代半ば。ちょうと平仄は合う。

過剰な性交に対する罪悪感をあおる専門家と風潮が人口減少を加速させている気がしてならない。ほんの二、三十年前まで「棄民」してまで人口抑制しようとしていた政策と重なるのかと疑いたくなるほどだ。

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性と出産をめぐる問題は幅広く、奥が深い。人口減少といいながら、人工中絶がいまだに年間30万件近くある。その一方で不妊治療も年間三千件。セックスレスカップル、カウントレス・・・。