近代の戦争で闘うことがどういうことかが、見事に描写されていた。1930年公開の映画で、第一次世界大戦がここまで冷静に反省されていたこと、そして、それを見事な特撮でリアルに撮影されていたことに驚いた。いや、兵隊が闘うこととに普遍性があるというべきなのかもしれない。
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当たり前だが、山本七平の「私の中の日本軍」で描写された兵隊の生活に極めて近い。ただただ生き残るために行われる戦闘、行き届かない兵站によって飢える兵隊、戦友への深い思い、「母」のおろかさと聖性。先任将校と兵隊の関係などが、山本七平によって描かれていたが、いやな上官の存在とその対処という意味でも第一次世界大戦のドイツと太平洋戦争における日本は同じものがあった。
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闘わなければ殺される、ぎりぎりのところでの戦い。驚くほど、非組織的な戦いだった。単に何トン分砲弾を発射したが、何千人兵隊を投入したかだけの結果。兵隊が生き抜こうとする力だけにこれだけ頼り切った戦闘が、第一次世界大戦から太平洋戦争まで繰り返されたのだろう。
物量に劣る「持たざる国」が突きつけられた「総力戦」における精神性重視の政策は、日本だけではなかった。国が侵略されるかどうか、その命運ぎりぎりのところで下される判断はまた、類似性を持つのだろう。というか、前線の情報がいかに中央に伝わらないか、あるいは抽象的にしか把握されないか。いずこの国も同じなのだろう。
「未完のファシズム」が明らかにしたのは、最後のところはランチェスターの法則で、弱い立場に置かれたドイツや日本のように「持たざる国」は、戦争によって「持てる国」にはなれないということ。
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