驚くほどサラリーマン小説。
- 作者: 堺屋太一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/04
- メディア: 文庫
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もっとはるかに理屈っぽい小説を予想してた。コンビニ、工場用地売却、リストラなど、1975年から1999年までを、団塊の世代の波の通過で見事に予想している。小説としては、団塊の世代の主人公たちがそれぞれ失敗、失脚、窮地に追い込まれる様子を書いている。実際には、コンビニは日本の文化を変えるほど隆盛を迎えたし、製造業もこの小説で描かれたよりははるかに長い間日本の隆盛を支えた。
この小説が描いた後の時代がかなり問題。それは、改めて論じる。
そして、堺屋太一氏自身が指摘するようにマルコフ過程でもなんでも、1975年当時でこれだけ将来の問題は予測されていた。しかし、それらの問題が官僚たちでは対策できなかったのだとすれば、霞ヶ関こそこの小説で描かれたたこつぼのようなサラリーマン社会なのだということだ。