あれはまだ小学生だったころ、まだ大学院に在籍されながら実験的に英語を教えていただいていたI先生から「はみだしっ子」の存在を教えられた。どれだけ話しが深いかを、I先生はすこしおませさんだったR子などと話しているのを横で聞いていた。当時、たぶん「ブルーカラー」から「つれていって」が花とゆめでまだ連載中の現在進行形だった。実際、この話しがどういう話しであったかを理解するのは、ずいぶん、ほんとうにずいぶん時間が経ってからだった。
- 作者: 三原順
- 出版社/メーカー: 白泉社
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ともあれ、はみだしっ子のグレアムといえばピアノ、ピアノといえば「ELP風のナットロッカー」となる。「ナットロッカー」が「ナット」=くるみ、「ロッカー」=割る道具、ということで、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」の間奏曲のロックバージョンだと知るのは、中学卒業の頃だったか。シンガポールに転校していったR子がたまたま帰国するころ、渋谷陽一のラジオではじめて聞いた。はみだしっ子にはまり、ELPにはまり、SF小説にはまった毎日だった。
- アーティスト: エマーソン・レイク&パーマー
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それにしても、たった三人でこれだけ豊かなサウンド、深い歌詞、天才的なクラシックのアレンジ、すごいとしかいいようがない。しかも、ライブ盤がすばらしかった。スタジオの多重録音で作られた音楽ではなく、ジャズのようにセッションしている。ここからピンク・フロイドにもはまっていく。
はみだしっ子の全巻をそろえられたのは、大学生も半ばになってからだっただろうか。ネットでさくっと調べると詳しい資料も、ELPのナットロッカーも出てくる時代に生きていることに感謝したい。
ああ、そうだ、もうはみだしっ子の三原順さんはいない。ELPの新曲を聴くこともない。ポニーテールがかわいかったR子を会うこともない。どれだけネットが進展しても失われていくものはある。