一年の疲労がたまり、耳に綿で栓をされた感じがこのひと月あまり続いていた。約束していたこととは言えベートーヴェンの全交響曲コンサートは気が重かった。
重い身体を運んで行ってみると、友人が予約してくれた席は東京文化会館の最前列だった。おかげ反響しないそのままの音が聞けた。耳は気にならなかった。交響曲も耳が悪くっても伝わる構成になっているなと感心した。さすが耳が悪かった作曲家。
聞いていて、モーツァルトよりも理屈がたってるなとかうだうだ考えながら、体調がわるく半分くらい寝てた。最前列で寝て、素晴らしい演奏をしてくださった方々には誠に申し訳ない。
どんなに困難があっても、それを乗り越えうんとこどっこいしょと。まけるなほらがんばれというメッセージがどの曲からも伝わった。実際かなり込み入った構成なのだと思う。
第九、歓喜の歌は素晴らしかった。指揮者のコバケン、小林研一郎さんが壇上で飛び跳ね、指で天まで歌声を届かせろと指し示していた。これがドイツ精神なのだと感じた。身と心が浄化されるようだった。
個人的にはヴィオラの谷口真弓さんの演奏がヒットだった。バイオリンよりもくっきり音が聞こえた。
ホワイエで皇帝円舞曲をやってくれたのに感激した。
おかげでよい新年が迎えられた。