非常に偏った見方かもしれないが、歴史と文化が根づいているかどうかが、ベトナムとカンボジアの盛衰の差を分けているように感じた。
カンボジアの田舎の学校に寄付に行った時の印象が強すぎるのかもしれない。
カンボジアの現地人ガイドさんの「教育の負の連鎖」の話しが強烈すぎたのかもしれない。
カンボジアでは、まだ小学校の教育すら義務教育にできないんですね。政府は数年のうちに実施するといっているけど、無理だとみんな思ってる。みななとてもまずしい。子どもが小さいうちは、手がかからないので学校にいかせても、少し働けるようになったら物売りをさせたり、畑で働かせたりする。自分が教育を受けていないから教育の大切さが分からない。当然、妻も教育を受けていないから避妊の方法もわからない。そして、(そういう子どもたちも)子どもがいっぱいできる。だから、そのまた子どもにも教育を受けさせない。
そうそう、写真を撮って来なかったことが反省させられてならないがベトナムでは相当な田舎でも鉄筋コンクリートとレンガ造りの三階建てくらいの学校が立派に立っていた。
数字の面からも、両国の差は大きい。カンボジアの名目GDPは800ドル、ベトナムは1200ドルに達している。
一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(1980~2010年)(カンボジア, ベトナム) - 世界経済のネタ帳
某貿易振興団体の方がおっしゃっていた。
・「民族、宗教、言語、アイデンティティ」=国民国家形成が完了している。
・ハノイは建都千年を昨年祝った。
・ホーチミンは三百年くらい。
・政治経済的な安定をなしとげているのは、千年くらいはひとつの民族でやってきているという背景から来ている。
・政府がなくなってもベトナムという国は存続できる基盤がある。
・「ミニ中国」とも言われるほど、中国の影響が強い。
・言語ももともと中国語。言葉の七割は中国語オリジン。
・ベトナムと日本、朝鮮半島には華僑がいない。
・共産党一党独裁。
・だが、内部は合議制。序列の上から3、4人で決めている。
印象でしかないが、逆に、今回の視察を経て、ベトナムは私の「もう一度行ってみたい国リスト」のかなり上位に食い込んだ。フランスの影響を受けたせいか料理はとてもおいしい。よいホテルにとめさせてもらったからだが、ヨーロピアンのスタイルで、ホスピタリティーにもあふれていた。
両国の戦争を繰り返してきた歴史を考えると一刀両断にできるものではないが、歴史と文化、そして、それらを守る意思を持つひとびとが国の安定と人々の幸せにはかかせないのだと実感した。地の塩でありたい。