HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「花狂い」

たまたま、雨宿りで入った古本屋さんで目に留まった。「究極の恋愛小説」という帯のキャッチに惹かれてしまった。「究極」というのは、加齢と恋愛という意味での「究極」だとは、思いもしなかった。

花狂い

花狂い

せめて、もう10年づつ登場人物の年齢を若く描けば、まだ「花」があった。だが、66歳の夫と60歳の妻という設定では、現実の老人の姿を見ているだけに、醜悪さがぬぐえない。正直、性交の描写もどうも不自然に感じられる。40代の著者が60代を描くことに無理があるのか。

以前も書いたが、子育てを終わっても、まだそれぞれ性愛が成立するほど元気でいられる高齢社会で、老いと性の関係は解かれるべき問題だ。基本的には、長い長い結婚生活で、互いへの愛と敬をすり減らして、相手を支配しようという愛欲しか残っていないのなら、パートナーを変えて、再スタートということになる。