HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

都市のネットワークとはなにか?

ずいぶん前に読了していたのだが、コメントを控えていた。正直に言う。期待はずれであった。

「文明ネットワークの世界史」を読み始める。めちゃめちゃ面白い。なぜこれまで読まなかったのか。

「街」のつながりが歴史の基本 - HPO:機密日誌

文明ネットワークの世界史

文明ネットワークの世界史

大変失礼だが、この著者の方はネットワークのなんたるかをきちんとご理解されていない。中心と周辺を説明するだけなら、ネットワークはいらない。確かに、ネットワークの必然的な結果として、べき分布する。べき分布するということは、ハブの位置を占める都市と、周辺としでは絶対的な格差が生じるということだ。だが、それだけは必要条件ではあっても、十分条件ではない。

中心と周辺概念の延長でいえば、「帝国」という概念が、ネットワーク可能な世界をすべて独占的に占領している国家であることは確かに蒙を開かれた。ローマがマーレ・ノストラ、おらが海と、地中海をネットワークの要路として使うことができたことこそが、「帝国」足りえたことは確かに其の通りだ。

しかし、古代都市のネットワーク的な成立もきちんと検証されていない。中世以降の地球規模のネットワークも、航路をしめすだけではネットワークではない。蒸気機関の発達、鉄道の実現による交通機関の発達がいかにネットワークの規模とつながりかた一変させたかのインパクトの分析も十分ではない。

私が期待したのは、ずいぶん以前から感じ続けているこの辺のエントリーの実証とそのさきにあるものだ。