HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

超高齢社会への対応とはふるさと作りにほかならない

某所で秋山弘子先生の講演を聴いた。

いつのまにか東大に「高齢社会総合研究機構」が設立されたのだそうだ。秋山先生はそこで研究を進めておられる。

本機構では、世界最長寿国であるがゆえに他の国々に先駆けて顕在化している高齢社会の重要課題に対して全学的な知を結集して取り組み、いまだ形成期にあるジェロントロジー学を推進すると共に、エビデンス・ベースの政策・施策提言を行っていくことを目指しています。また、学部横断的なジェロントロジーの教育プログラムにより超高齢社会を担う人材の養成を行うと同時に、大学外にも広く門戸を開き、他大学、民間の研究機関、企業、行政、地域団体と連携・協力して活動を展開していきます。

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「サクセスフル・エイジング(成功する加齢)」という本が先生の超高齢社会研究の原点らしい。

この本のサブタイトルに感動した。

The MacArthur Foundation Study shows you how the lifestyle choices you make now- -more than heredity--determine your health


マッカーサー財団の研究が示すところによれば、いまあなたがどのようなライフスタイルを選択するかが、遺伝よりもあなたの健康とバイタリティーを決定する。

20年以上に渡る「成功する加齢」の研究により、「男性はグループへの参加、女性は精神的な自立が、健康度の維持と強く関連する」ことがわかったのだそうだ。つまりは、男性だったら親しい絆を感じられるグループに入ることを今日決めるべきだし、女性だったら精神的に自立できるようにライフスタイルを変えるべきなのだ。

かつまた、先生の柏市福井市における社会的実感が示すところによれば、「エイジング・イン・ザ・プレイス(その場所で年をとる)」がもっとも幸せなのだという。特に福井の話しが興味深かった。三世代同居がごく普通に行われていて、家族がそれぞれの役割に応じて働いているので、一人一人の所得は低くとも、世帯全体で合計するとかなりの所得になるのだそうだ。夫婦はそれぞれ外で働き、子どもの面倒はおばあちゃんがみてくれる。ついでに、おじいちゃんは農作業をして、家族が食べる野菜やお米を作っちゃう。家族の絆のを含めて、現金収入以上の満足が福井にはあるのだそうだ。そういえば、建設業界は、福井や北陸の方は立派な家を建てて大家族で住むことが多いというのは、聞いたことがあった。

例の、「グレート・アメリカン・ソサイエティ」の失敗とは対象的だな、考えてみれば。

やはり、自分がここで生き、ここで家庭を築き、ここで子どもを育て、ここで仲間と語らい、ここで年をとり、ここで死ぬというふるさとを自分で作ることが、将来に備えて選ぶべきライフスタイルなのだ。