HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

自己実現欲求より認知欲求の方が大事

組織戦略の考え方」をある方から「経営関連の本で一番腹の底から納得できた」とご紹介いただいて読んでいる。

組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために (ちくま新書)

組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために (ちくま新書)

秀吉がなぜ茶道具を珍重したか、ネットでなぜみなブログを書くのか、ごく身の回りを見渡せば、とりたてていわなくとも当たり前のこと。マズローの要求階層説の安易な組織論への応用を批判して、沼上教授はこう書いている。

自己実現欲求のみに突き動かされるような老成した人など企業組織ではほとんど存在していないのだから、組織設計の際に自己実現を主たる要素として組み込むことなど必要ない。(中略)

企業組織のような社会システムを運営する上で日常的に一番重要なのは自己実現欲求などではなく、それよりも低位の承認・尊厳欲求である。

で、ちなみに、これはネット信頼通貨そのもの。

十分に貧困から解放され、自分が自由だと感じられる社会において、ネット上の認知関係のやりとりは貨幣の意味を持つようになる。なぜなら、基本的な生存に対する欲求を満たされると、人間は元々認知を求める欲求をもっているから、次は認知を強く求めるようになる。ネット上で表現される自分に対する認知、信頼がネットにつながる人々の原動力になっているという仮説については既に述べた。ネット上での認知は、以下のような行動によって支払われ、受け取り手はその対価に満足する(あるいは不足を感じる)。

見えない自由がほしくて、見えない銃をうちまくる -ネット上の貨幣としての認知にインフレーションは来るのか?-: HPO:個人的な意見 ココログ版

ちなみに、この後のブログ流行りを見ると、認知してもらうことが貨幣だとすると、エントリーの数は莫大に増えたらが、「認知」自体はべき分布するためにその価値はインフレーションを実際に起こしたと言っていいのではないだろうか?

同様にして、組織内での認知欲求をいかにデザインに組み込むかという問題は、結局与える側の時間が通貨としての役割を持つようになるのではないだろうか。