HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「FREE」という脱稀少性

ようやく読了。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

私は決して好きではない人物のだが、「Free!」の著者のクリス・アンダーソンと発想や興味が似ていることは否定できない。

ニューヨーク・タイムズのノンフィクションベストセラーリストに上がった著書『ロングテール』は、もし販売店や流通経路が十分に大きければ、需要が少ない、あるいは販売量が少ない商品でもそれらをまとめあげるとベストセラー商品や大ヒット商品に匹敵または凌駕する市場シェアをつくり上げることが可能であると論じる。
2009年7月に発表された2冊めの著作『フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略』は、商品やサービスを消費者に無料で提供する価格モデルの可能性を検証した。
(中略)『Free』の印刷版はニューヨーク・タイムズのベストセラーリストの12位でデビューした。一方、無料のデジタル版は300,000近くダウンロードされ、本書の提唱するフリーミアムに信憑性を与えるものとなった。

クリス・アンダーソン (編集者) - Wikipedia

僭越だが私とクリス・アンダーソンの共通の発想とはつまりは、すべての「もの」は希少性を失う日がくるということ。

眠くて、思考を管轄できないので、あとはまた明日。

ネット上で利用可能な資源の量は爆発的に増大したという意味で、利用可能なリソースは超インフレーションをこの数年で起こした。が、人の信頼通貨(なんとクリス・アンダーソンがまったく同じことを「FREE」で書いている!)は、人に生きることを許された時間とコインの裏表の関係であるので、相対的に希少性を増している。

そして、SF作家、グレッグ・イーガンの作品群が描いた世界は、物理的にも希少性がなくなった世界である。「順列都市」に到っては、世界そのものの創造に成功している。そこまでいかなくとも、ベーシック・インカムを唱える人々は、リアルの世界ですら、技術革新により希少性を失ったものの価値が下がり続け、多くの人々はほとんど働かなくてよい世界がくると信じているのだろう。

ものの希少性の問題は、資源と人の時間との比の問題になる。資源と人の時間の比の問題とは、結局昔からの環境経済学ともいうべき問題に帰結するのだろう。

 やはり、「環境問題」を真剣に考えるのなら人間の数を減らすことを考えるべきだと思う。どう考えても地球の資源を急速に使い果たしつつあるのは、増えすぎた人類であることに間違いはない。もし、現在の60億の人類が野放図にその種を増やして30年しか居住可能な環境を維持することしかできないのなら、これ以上数を増やすのをやめて60年、1/6の10億に減らして180年とかの方が人類の種としてためではないだろうか?


 当然、この考えの先には人類の種としての目的は何なのかということに帰着するだろう。この議論は、人類の種としての目的の設定の仕方で全く変わってくる。「最大多数の最大幸福」を追求するなら、また「最大多数」が現存する人類一人一人のことを指すならこのまま突っ走るべきであろうし、人類すべてが幸福な「涅槃」の境地に達することが目的であるなら直ちにすべての生産活動と生殖活動をやめて座禅を組むべきであろうし(その後1世代で絶滅したとしても)、結果は設定により変わってくる。

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