HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「がんばれ、夕張!」

夕張市にお邪魔している。再建にかける熱意を随所に感じる。



夕張市が破綻した原因は、観光開発にお金を使いすぎたことと、炭鉱の閉山にお金がかかりすぎたことだと説明をいただいた。


昔の炭鉱の入り口に立っていた看板。

ちなみに「出稼」とは「出勤率」のことだそうだ。「出稼ぎ」かと思ってしまった。炭鉱用語は結構特殊。

この炭鉱の入り口だけではなく、夕張を見ていると、地元から雇用が消失することのたまらないさびしさを感じる。

詳しい事情はわからないが、観光開発という本来民間で担うべき事柄に「市」として乗り出したことがそもそも間違いだったのではないだろうか。民間の破綻で再建に18年かかるという話は聞いたことがない。公共でやるべきことがら、民間でやるべきことがらの区別はある。民間で投資した場合の痛みはあるが、確実に処理するスキームはすでに存在している。

一方、夕張メロンは農業出荷としては大成功していらっしゃる。日本中で、夕張の名前は知られているし、「幸せの黄色いハンカチ」や、駅前の屋台村の試みなど、観光資源はたくさんある。夕張を盛りを過ぎた「市」と見るからさびしく感じるのであって、誰も住んでいなかった「村」からスタートしたと見るとメロンひとつとっても万々歳の成果であろう。いろいろな地域を見ていると、農業のすごさをつくづく感じる。行政体としての「市」ではなく、人の集まりとしての「村」が私には大事に思える。

また、夕張市は、炭鉱にあわせて南北に分散しているので、いろいろな費用がかかり過ぎるのだという。小学校、中学校も3つあるのと、ひとつでは運営費用がぜんぜん違う。だから、市の中でのコンパクトシティーというか、住居、教育、医療の集約していくことが再建の大きな課題だそうだ。

夕張がつきつけているのは、日本の岐路であるのは確かだ。これまでのように国土全体の保全を目的として国防と土木建築、そして、分散した国土という政策を維持する道が一方である。ごく狭い都市部に人口を集中させ、そのほかの地域はインフラの整備を行わないという新しい政策を採用するのが別の道。国土、国防、国民の生活のあり方について、政策転換を行うか、その岐路にいま日本がいるということではないか。補助金ではなく、雇用によって地域を守れることがベストだと私は思っている。

ちなみに、夕張を含む空知建設組合のここに桃知さんのお名前がある。


■参照